PHASE-49「終末の光」

49話「終末の光」の感想

 たった今第49話を見終わったところなのですが、とても気が重いです。ダークな気分とでも言いましょうか。何でかって、たくさん人が死んだから。感動したとかそういうんじゃなくて、嫌な感じでした。もちろん今までだって無名のキャラクターはばたばた死んでたんだけど。名前のあるキャラクターが、49話だけで何人死んだんだ?数えてみよう。

・オーブの、アストレイに乗っていた女の子パイロット三人。アサギ、ジュリともう一人の名前は何だっただろうか。思い出せない。

・地球軍の、生体CPUパイロット三人のうち二人。三人の名前は思い出せるけど顔と名前が一致していないので死んだのが誰と誰なのかは僕にはわからない。何と言うか、一応専用の機体と名前をもって颯爽と(?)登場したキャラクター達なのに、性格付けや背景があんまり描かれてなくて、何のためにこの物語に登場したのかよく分からないです。オーブの女の子パイロットもそうですが。

・ムウ・ラ・フラガ。

・ナタル・バジルール

・ムルタ・アズラエル

8人か…。もっと人が死ぬ物語はある、それに比べればそれほど多くは無いと言えるかも知れませんが。思えばこのアニメ、重要な人物はあまり死なないで来ていたから、実際に死んだ人数以上に重く感じられるんだよな。思えばニコル一人死んだだけでその余波はその後何話にも及ぶような作りをしていたのに、ここにきて一度に八人と言うのはやっぱり多いよな…。

 いつまでも気を重くしていても仕方ないから、とりあえず能天気なところから話をはじめよう。今回はじめて明かされた「プロヴィデンス」の強さ。おいおいって言いたくなるぐらいに強そうだったね。ファンネルの動きが異常に速いのか、四方八方からビームが雨あられと飛んでくる。ファンネルを使うモビルスーツの代表であった、キュベレイよりもずっと強そうだ。
 プロヴィデンスの搭載しているファンネルには大小の二種類があるそうだが、どちらも出すビームは一本ではないようだ。数本のビームが、微妙に違う方向に発射されているように見える。ショットガンのように、点ではなく面を攻撃範囲とする設計思想なのか。ファンネルが高速で動きながら攻撃するので命中率を高めるためにそうなっているのかも知れない。
 この恐るべき攻撃に対して、ムウはそれなりに善戦する。空間を飛び跳ねるようなめまぐるしい動きで、次々と襲い繰るビームを回避する。超人的だ。キラだってこんな超人的な操縦は見せた事が無いのでは?
 しかしそれも長くは続かず、ムウのエールストライクは撃破される。このとき絵的には、コックピットブロックこそ何とか無事だが、四肢も背中のエールユニットも破壊された、ように見えた。自力では移動も出来ないぐらいに壊れたように見えたのだ。しかし後で、それほど重大な損害は受けてなかったと分かる。腕と脚が一本ずつぐらい損傷を受けていたが、原形をとどめないというほどではない感じだった。コックピット内ではもくもくと煙が出ていたから、戦える状態ではなかったのだろう。ムウはアークエンジェルに帰還しようとする。

 しかし、なんでこの状態で済んだんだろう。ラウは手加減したのか?まあ、この人の目的は個人の戦いと言うようなレベルではなくて、人類を滅ぼすだか裁くだか壮大な事を言ってるから、一人の敵にとどめを指さなかったことがそれほどおかしいという事は無いんだけど。特にムウは因縁のある相手なのだから、殺さずに生かしておいて苦しめようとしていたというような事もあるかもしれない。

 でも、邪推するとこれはストーリーのためのご都合主義のようにも思えるんだよね。この後ムウはマリューの乗るアークエンジェルを守るために、エールストライク単機でドミニオンの放った巨大なビーム束を受け止め、感動的に散っていったのだが、制作側としてはこのシーンをやりたいがために、ムウがラウに殺されない事にしたのではないかと、疑えば疑える。
 でもまあ、そういうことは忘れよう。愛する人と仲間の乗る艦を守って散っていった彼の最後は見事だった。彼の面影を心に刻み付けつつ、冥福を祈りたい。(大げさ?)

 さて一方、戦略的意味も無いのに、怒りに任せてプラントに対する核攻撃を命令するアズラエル。(敵軍の志気をくじく役には立っただろうか?)遺憾なく悪役ぶりを発揮してくれるのだが、しかし疑問を抱かざるを得ない。この人、軍の上層部も言いなりになるぐらいの発言権を持っているようだけど、なんでそんなすごい立場にいるの?戦闘経験もなさそうな若者に見えるのだが、そんな人間に身分のある軍人が唯々諾々と従うのはどう言うわけか?性格も子供っぽくて、人を惹きつけるカリスマ性があるようにも見えないんだけど。たとえどんな金持ちでも、それだけでは立場のある軍人を動かすのは不可能に思えるのだけど。
 まあいいや。とにかくこいつにはそういう力があると。最悪である。こいつのわがまま&邪悪っぷりを見せ付けられたナタルは、思わず地球軍と袂を別ったマリューさんの言葉を思い出すのであった。『私達は地球軍の方針そのものに疑問があるの』だったかな、そういう言葉。
 でも、マリューさんがその言葉を言った時点では、マリューさんはアズラエルの事を詳しくは知らなかったと思うし、何の事を指してそう言ったのか、よく分からない気がするんだけどね。やっぱり自分達が捨て駒として使われたので愛想つかしたんじゃないのかな。そうじゃないというようなことを言ってたみたいだけど

 ともかく、アズラエルをこのまま生かしておくわけにいかないと思ったナタルは、総員退艦を命じ、自分は艦と共にアズラエルと心中する事を決意する。アズラエルの最後の悪あがきで、戦艦ドミニオンは最後の一撃を放ち、この一撃からアークエンジェルを救うためにムウは散っていった。
 愛する人の死を目の当たりに見たマリューは震える声で最後となるドミニオン攻撃命令を出す。この場面声優さんの声の演技は見事だと思った。アークエンジェルの放ったビーム束はドミニオンのブリッジを破壊、ナタルとアズラエルをこの世から消し去った。
 この攻撃命令を出すとき、マリューはナタルがそこにいることを知っていたのだろうか?と言う疑問を持ったが、分かっていたと考えるのが妥当だろう。ナタルはドミニオンの艦長であり、艦長は基本的に最後まで――他の全乗組員が退艦するまで――退艦しないものだからだ。ドミニオンが動いている以上、ナタルも乗っているとマリューは考えただろう。
 かつて仲間であった、ナタルを犠牲にしてまで、倒さなければならない敵がドミニオンに居る事をマリューは感じ取っていたのだろうか。そう思いたい所だが、もしかすると単にムウの仇をとるというつもりだったのかも知れない。

 今回、思わぬ活躍をしたのがイザーク君。フォビドォンに立ち向かい、攻撃を受けて爆煙が上がり、撃墜されたかと思わせておいてやられたのは外装パーツだけで煙の中から颯爽と登場し、ビームサーベルの攻撃でフォビドォンを撃破!「0080」の、アレックス対ケンプファーの戦いを彷彿とさせる印象的な戦い。キラ、アスランが何度も戦い倒せなかった地球軍の3体の新型の中の一体を、イザークが倒すとは思ってもいませんでした。大金星です。

 意外と言えば、あの、種が砕け散るような映像が映って、パイロットが超人的な強さを発揮するバーサーカー状態、この境地(?)に達するのはキラとアスランだけかと思っていたら、今回カガリがこの境地を会得(?)。バシバシと敵を倒していました。そんなに超人的な感じじゃなかったけど。コーディネーターでなくてもこの状態にはなれるんだね。(カガリってコーディネーターじゃないんだよね?なんかはっきりしてないけど。)

 そのほか、思った事を幾つか。

 キラとアスラン、今回は主に核ミサイルの迎撃を頑張っていたようです。各ガンダム+ミーティアの一斉射撃で核ミサイルをミサイルを打ち落としていましたが、このときバーサーカーモードに入る事に何か意味があるのでしょうか。百を超える(ように見える)目標への同時攻撃、パイロットが自分の意思で目標を一つ一つ設定しているとは思えず、当然機械がこれをやっていると考えられるので、パイロットのバーサーカーモードには意味が無いような気がしませんか、皆さん。

 キラとアスランの戦い方。時々、パイロットを殺さないように敵モビルスーツの頭部や椀部のみを破壊しているようにも見えるのですが、かと思うとカラミティガンダムはコックピットの位置で真っ二つにして撃破しているし、ミーティアの巨大ビームサーベルで敵戦艦を真っ二つにしているし、どうも主義がはっきりしません。レイダーガンダムのパイロット、クロト・ブエルの『戦う目的など知るものか、やらなきゃやられるからやるだけだ。』と言う発言にアスランはショックを受けていたようですが、キラとアスランのやってる事もあんまり違わないような気がしてしまいます。気持ちとしては言っていたように『戦争を終わらせるために戦う』と言うことなのだろうけど、具体的な方針が無くて、行き当たりばったりに戦っているようにも思えます。とりあえず無辜の民を殺戮する大量破壊兵器は良く無いと言う共通認識はもっているようだけど。

 まだ他にも何か書こうと思った事があるような気がするな。思い出したら書きます。


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